2021年9月13日 退院
今回の治療(放射線照射・抗がん剤点滴)は、がん細胞と共に正常細胞も痛めつけるため、治療終了(治療しないこと)すなわち療養の始まりになります。療養では、光が差す方向へ進むにつれ、心身は明るさを取り戻すもの、と思っていたので、改善の兆しが一向に見られず、暗雲が漂う状況、では、戸惑ってしまいます。症状の重さや、回復時間 等の程度差ではなく、特定の機能(飲み込み)や症状に限られることに気づくと、次第に明るい見方ができなくなります。
抗がん剤に期待される、がん細胞の増殖を抑える効果は、正常な細胞にも影響を及ぼすことがあり、その影響で変質した細胞には、療養後も以前の状態に戻らないものがあるとのこと。仮に治療の影響をゼロに戻せても、機能を取り戻すことが叶わなければ、「回復は見られない」と評価されます。その時分に想起したのが、以前「地獄の門番」に例えた、放射線科看護師さんの「本治療前にあった回復の手応えをすべて失うこともある」の言葉で、「このことか……」と抵抗することもなく、眼前の状況(回復不能の可能性)を受け入れ、共に歩むことに。
日常生活というのは、身体の各部分に備わった、様々な機能の連携に支えられるため、一部でも欠けると生活に支障が生じることを、改めて認識させられました。
そんな時分の外見から、心身の状態を察してくれた看護師さんが、退院時にかけてくれた「あの状態から、よくぞここまで! 回復しましたねぇ〜」の言葉を、見るに忍びない姿との比較による、最大級の褒め言葉と受け止めました。そのような方々の支えのおかげで、なんとか退院までたどり着くことができたと、感謝しております。
武器を用いた最初の「がんとの闘い」(手術・治療)は、本年いっぱいで終わりそうですが、来年以降も引き続き、原動力となる精神的な体力を鍛え、支えてくれる周囲のサポートへの感謝を忘れずに、療養とリハビリに取り組むことに……
右:病院外観