2021.08.01 とどめの副作用
放射線治療+化学療法を5週間続けると、ベースとなる体調も治療の影響で変調してしまうため、健常時との単純な比較はできなくなります。この時分の副作用は、口の渇き、口内炎、便秘、吐き気、痛み止め効果の低下と多彩ですが、ここでの吐き気は、これまでに経験したことのないプロセスで出現します。
忍び寄るような「これ吐き気?」「すぐにおさまるだろ」と認識するのは、停止させられたセンサーが危険信号を見逃したためで、同様に身体を守る「防衛システム」も無力化されます。そのため、防御力を備えた外部への誘導路を、抵抗の間もなく構築されてしまいます。静かに忍び寄る吐き気に、抵抗する術はありませんが、一度出してしまえば落ち着きを取り戻せます。ですが、数日後には別の副作用が発生したかのように、食欲が失われ、食べ物が喉を通らなくなるため、その後は点滴で栄養補給することになります。
この吐き気と食欲不振が別々に出現するような副作用は、変調した身体に起こるらしい、としか説明できません。
そんな状況でも口にできそうなものとして、アイス(甘味はわからないが、乳製品(バニラ)のコクはわかる)にチャレンジします。冷たい嗜好品ですが、口の中で溶かしてカロリーをかせげるので、栄養士も奥の手として推奨しています(カロリーの高い食品として評価)。以前同室の方が、食べ物は喉を通らないがアイスなら入ると、可能な間は続けていたように、この状況下では頼りになる救世主的な食品です。
カーテン越しに迫る感染症
夏のコロナ感染が拡大した時分に入院した方が、感染を疑われたのはベッドの上でした。
午前に入院し、ベッドで昼食中に医師から「感染症検査のため、病室を移動してもらいます」「食事してからで結構です」と告げられます(カーテン越しに声だけ聞こえる)。すると間髪を入れず数人の看護師がやってきて、「食事を持って移動してもらいます」「隔離が必要なためです」と、慌ただしく移動させられることに。それにしても、もう少し早く判断できなかったかと。
もしその方が感染していて、こちらがカーテン越しに感染したとしても、「カーテンで感染は防げない」はすでに共通認識ですから、教訓にもなりません……
病棟を感染から守るには、面会禁止、外部との往来遮断だけでなく、隔離体制が必要であることを、逃げる術を持たない入院患者の立場で実感させられました。
0 件のコメント:
コメントを投稿